アウルボーイの日記

カシワギマサルを主人公に、武道場の建設経過を書いて来ました。

カン・ソンシさんは日本人だった-3(婚約者とビジネス旅行)

大阪の取引に引導

大阪は馴染みがなく、他国のような疎外感があったが、商売なので丁重に名刺を出して挨拶した。当然中国語で話したが、日本人と気付かないようだ。

 

大阪梅田の繁華街から少し入った、10階建てのビル2フロアーを使った中堅の商社だが、なんのとなく緩んでいると感じた、榊原さんは腹が決まっていた。

 

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大阪のイメージは良くないが街は華やかで楽しいところですよ(^^♪

ユウリンも重役として同席し、前回は係長で出席した営業課長は一方的な会議だった事を思い出した。

 

粛清された取締役と同行し商社の言い値で契約、夜の付き合いは全部持って、納入の数字だけは大きいが散々な出張だったことを思い出した。

 

今も舐めている大阪の商社

今日も、商社の部長が開口一番、大阪弁丸出しで膜して【縫い方が雑でロットごとの梱包が悪い】とか商品にイチャモンを並べている。

 

榊原さんは、発言せず相手の顔をじっくり眺めている

 

 紗営業課長を前面に出し挨拶させ、部長と言う人物は榊原さんが気になるようでチラチラ視線を感じるが、知らん顔で口出しをしない。

 

何も知らない若造のくせにと、態度が気に食わないようだ。部長も営業課長に続きを任せた様だ。

 

以前は電話などで打ち合わせ事前に概ねを確定し、セレモニーとして会議を開き契約をした形跡があった。

 

今回は、様子が違うので担当課長も、何が交渉条件なのか把握できず、部長の顔を見な自分たちの資料を捲っている。

 

榊原さんが、満を持して「部長さん、本日の招請は何でしたかね?」と水を向けた。

 

同行したカン縫製の営業課長も、榊原さんの指示をうけているので、戸惑った様な顔をして、「う~ん」と唸った。

 

部長が、榊原さんが標準的な日本語でしゃべりだしたので、慌てて名刺を捲って顔を見直している。

 

部長が「榊原さんは日本の方でしたか~」と念を押して「年に一回の交流会をやってきましたが、ここ3~4年都合が付かず延び延びになっていました、人事も刷新された様なので今日になりました」

 

「先ほど縫製が悪いとか、ロットの梱包が悪いとかは、この会議でやってきたのですか、昔の議事録を参考に所見しましたが、クレームの話は一行も有りませんでしたよ」

 

「いや~それは前の取締り役が事前に調整して呉れましたから、問題は無かったのですが、最近は伝票のやりとりだけで対面のお話が出来ていませんでしたからね」

 

「社内に悔恨の不祥事がありまして、斬鬼の粛清に時間を費やしました、新規巻き直しで取引をリスタートする方針です。今後もご協力をお願いします」

 新規のお取引は公正に

「会社存続に際し、社長以下社員一同と腹を割って検討協議した結果を、お示しいたします。今後のお取引概要です」と営業課長に資料を出すように促す。

 

「最近の材料費の高騰と、中国も労働力の不足等でお取引の見直しをご相談したいと考えています。お示しのような卸値の見直しをしました。次回からこの形になります」

 

「えっつ 突然こんな話は承諾できませんよ」と部長が顔色を変えて抗議する。

 

「うちの営業課長も、電話で内合わせをしましょうと言いましたが、私はこう言う話こそ直接お会いしたほうが、ご了解を得易いと,伺ったわけです」

 

「先にお話を頂いても、お受けできない数字ですよ、今までの倍近い値じゃないですか?こんな話全然飲めないですよ」

 

「あぁ~そうですか、日本の商社や通産省の友人と時々情報交換しています。うちの製品も承知していましたよ、店頭には可なりいい値段で出ているようですね」

 

「お役所にお友達が居られると、何かと心強いですね」と皮肉な口ぶりで顔が歪んでいる。

 

「お宅との取引が本国で非難されましてね【カン縫製が相場を壊して日本の取引が中断した】と苦情を言われ、実態調査で判明しましたよ、積み込み時の帳票を二通り発行させ、差額をうちの取締役と山分けして居たそうですね」

 

「カン縫製と更迭した取締の口座に【同程度の振り込み金額のことも在りました】と銀行サイドの裏付けがあるのです」

 

「うちは縫製工場になっていますが、独自の生地の仕入れからデザイナーも含めて、他の工場とは違うスタンスで評価を得てきました」

 

「内輪の話ですが、前の取締役がお宅の会社だけでなく、商社やバイヤーと癒着して私利私欲に傾注し、莫大な損害を被りました」

 

「そのお話は、お宅の社内の内輪の話でしょう、この数字じゃ無理ですよ」

 

「お返事は、即答は無理でしょうから、FAXなり別途通信でご返事を下さい。お伝えして置きますがうちの取引に対し、2回づつ振り込まれた件で、通産省の出先機関で内定している様ですから、送達伝票の2重発行の件は、4~5年前までさかのぼって提出してあります、念のため~今日はお招きに与かり有難うございます」

 

榊原さんたちは、挨拶もそこそこに風のように表に出た。

「これでこの会社とは縁が切れそうですね」とユウリンさんはにこにこしている。

 

営業課長は「サッキーさんの交渉術を早くマスターしたいです、凄く手順がよくて相手が抗弁できず引っ込んでゆくのが、実感できました」

 

「いや~これは面談だから出来るので、電話じゃ逃げ切られますね、こんな感じで都合の悪い取引先は整理して、実績を上げてゆきましょう」とはっぱを掛ける。

 

榊原さんが、営業課長に(次の訪問先に予定の時間に伺うことを伝えなさい)と指示すると、スマホの着信バイブが作動

会社の横領事件勝訴

「はいっ 榊原です。あっ社長~今大阪の例の会社に引導渡して出てきたところです、~そうですか、裁判は全面勝訴ですか?良かったですね。かなりの額が保証されますね、~う~んあの取締役の資産を差し押さえて、賠償金として支払いを命じましたか!」

 

「~~裁判と同時進行で公安が不良所得を内定していたのですか?没収して損害額を返却する形ですか?中国は素早くて公正ですね」と榊原さんが感心している。

 

「はい東京はこれから訪問し、明日横浜で打ち合わせをして。明日の夜長野に行きます。紗営業課長も行こうと説得しているのですが、、明日の便で羽田から帰りたいというので、明日から別行動になります、なんとか全部の取引を健全形に戻して往きたいと考えています~~わかりました」